三味線の調子
(→実音は「箏の調子・箏の調弦」にあります)
三味線の調子は4度と5度の組合せです。正しく言うと完全4度、完全5度です。
4度は2音半でドから数えるとファ、5度は3音半でドから数えるとソに相当します。
4度と5度を足すと6音すなわち12半音で1オクターブになります。

三味線の上駒から下駒までの長さとの関係は図のようになります。

例えば、本調子の一と二は4度ですから、一の糸の1/4のところ(棹の継ぎ目、5のツボ)と二の糸を合せれば良いことが分ります。
二と三は5度ですが、4度+5度は1オクターブですから、三は一のオクターブ上に合せると言うことになります。

調子を4度と5度の組合せで分けると下図のようになります。

「高」が付く調子は全体が1音高く、「低」は逆に1音低くなります。
例えば、本調子の一二三をレソレとすると高本調子は1音づつ上ってミラミとなります。
「水」と付くとずっと低いと言う意味になりますが、4度低くとるのが普通のようです。

それでは基準になる一の音は何に合せればよいでしょうか。
壱越(D)に合せる場合が多く、盤渉(B)も良く使われますが、個人で演奏する場合は自分の声に合せて2本〜8本程度でかなり自由に合せています。
壱越に合せると、これを壱越調あるいはニ音式(イロハニのニ)と呼ぶこともありますが、6本に合せるという言い方も良く使われます。
盤渉ですと盤渉調あるいはロ音式、または3本となります。
本調子
(壱越調ニ音式6本)

基本の調子
移動ド唱法:レソレ

一を6本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全5度上
(一の1オクターブ上)

本調子
(盤渉調ロ音式3本)

基本の調子
移動ド唱法:シミシ

一を3本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全5度上
(一の1オクターブ上)

高本調子
(壱越調ニ音式6本)

本調子より全体に1音高い
移動ド唱法:ミラミ

一を8本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全5度上
(一の1オクターブ上)

高本調子
(盤渉調ロ音式3本)

本調子より全体に1音高い
移動ド唱法:#ド #ファ #ド

一を5本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全5度上
(一の1オクターブ上)

一下り
(壱越調ニ音式6本)

本調子より一が1音低い
移動ド唱法:ドソレ

一を4本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全5度上

一下り
(盤渉調ロ音式3本)

本調子より一が1音低い
移動ド唱法:ラミシ

一を1本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全5度上

二上り
(壱越調ニ音式6本)

本調子より二が1音高い
移動ド唱法:レラレ

一を6本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全4度上
(一の1オクターブ上)

二上り
(盤渉調ロ音式3本)

本調子より二が1音高い
移動ド唱法:シ #ファ シ

一を3本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全4度上
(一の1オクターブ上)

低二上り
(壱越調ニ音式6本)

二上りより全体に1音低い
(1メリともいう)
移動ド唱法:ドソド

一を4本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全4度上
(一の1オクターブ上)

低二上り
(盤渉調ロ音式3本)

二上りより全体に1音低い
(1メリともいう)
移動ド唱法:ラミラ

一を1本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全4度上
(一の1オクターブ上)

三上り
(壱越調ニ音式6本)

二上りより三が1音高い
移動ド唱法:レラミ

一を6本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全5度上

三上り
(盤渉調ロ音式3本)

二上りより三が1音高い
移動ド唱法:シ #ファ #ド

一を3本に合わす
二は一の完全5度上
三は二の完全5度上

三下り
(壱越調ニ音式6本)

本調子より三が1音低い
移動ド唱法:レソド

一を6本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全4度上

三下り
(盤渉調ロ音式3本)

本調子より三が1音低い
移動ド唱法:シミラ

一を3本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全4度上

高三下り(一上り)
(壱越調ニ音式6本)

三下りより全体に1音高い
移動ド唱法:ミラレ

一を8本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全4度上

高三下り(一上り)
(盤渉調ロ音式3本)

三下りより全体に1音高い
二上りより一が1音高い
移動ド唱法:#ド #ファ シ

一を5本に合わす
二は一の完全4度上
三は二の完全4度上

六下り
(壱越調ニ音式6本)

本調子より三が完全4度低い
三下りより三が3律下がるので
三三下りまたは三メリともいう
移動ド唱法:レソラ

一を6本に合わす
二は一の完全4度上
三は一の完全5度上

六下り(一上り)
(盤渉調ロ音式3本)

本調子より三が完全4度低い
三下りより三が3律下がるので
三三下りまたは三メリともいう
移動ド唱法:シミ #ファ

一を3本に合わす
二は一の完全4度上
三は一の完全5度上


雅楽名やイロハは直感的に分り難いので良く本数が使われます。本数は1本〜12本まで半音づつ上がりますが、1本より下を水1本、水2本・・と呼ぶこともあります。
1本とは黄鐘(A)の高さですが、中国音名の黄鐘は日本の雅楽名の壱越にあたり、壱越を1本とすることがあります。義太夫三味線がそうです。

義太夫三味線の本数の計算
本数→
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変換後の本数: