糸締めの強さ
糸締めの強さは、箏の長さに合せて柱がバランス良く配置され美しいカーブを描くように決めます。
若干のバラツキはありますが、基本は全ての絃を同じ強さに張ります。また、意識的に二、七、十を少し上げたり、一を下げたりすることがあります。
平調子を調子の基準とし、一を五の乙にして調弦したときに、一の音と巾の裏の音(高さ)が同じになれば一の柱と巾の柱が左右対象に配置されます。
その時の一が壱越すなわち6本であれば6本締めと呼びます。このとき巾は黄鐘(1本、2オクターブ以上 上です)となります。
このことから、柱の位置と高さから締めの強さを知ることができます。
柱は雲角や龍角に近づくと位置以外の張力が働き不正確になるので、(A)か(B)の箏の真ん中に近い方に柱を置いて音を出してみよう。
チューナーの「調子選択(箏)」から「糸締めの強さチェック」を選ぶ。
実音がチューナーの四に近ければ4本締め、六に近ければ6本締めと言うことです。
なお、オクターブ違いは適当に勘案して下さい。また、12本、11本・・と言うのは実音が低ければ、水1本、水2本・・と言い換えても良いでしょう。
柱を小柱に替えると音がどれだけ下がるか、押し手の強さで音がどれだけ上がるかはこの締めの強さによります。
締めが強いと音の変化は少ない。すなわち、小柱にしてもあまり変らない。また、押し手は強く押す必要があります。
1音半上げる三重押しは締めを弱くしないと押せません。低調子あるいは絹糸を使うことになります。テトロンでは、低い「双調平調子」にしないと「六段の調べ」はツライことになります。
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小柱にすると音の高さはどれだけ変るか(以下は開発者参考用)
柱の高さを変えると絃全長の長さが変り、それが張力に影響して音の高さが変ります。
絃の長さの変化は非常に小さく、音がどれだけ変るかを計算するには箏がアーチ状に膨らんでいる影響は無視出来ません。
== 計算のためのメモ ==
周波数は張力の平方根に比例。張力の変化量は絃の伸びに比例。従って、周波数は伸びの平方根に比例
絃の定数は材質によるのでこれを直接使うことは避け、間接的に定数を求める。
周波数の2乗の差=定数x伸び ⇒ 定数=(柱1の周波数の2乗ー柱2の周波数の2乗)/柱1と柱2の全長の差
アーチの影響で定数は一定でなくなる。もう一つ柱3の式を用意し、その時の定数と一致するように柱の高さにバイアスをかける。
このバイアスがアーチの膨らみになる。
雲角と龍角を結ぶ直線をX軸にとり、バイアス値をZにして方程式を作ればこれがアーチの式になる。3次モデルか? 出来れば2次モデル程度にしたい。
X軸から柱の頂点までの高さが柱の実効高さになる。
以上が求められれば、柱の高さの差から周波数の2乗の差が得られ、周波数比の2の12分のN乗根からNを求めれば、これが半音の何倍かを表すことになる。